ジャイアン2020の設立趣意書(ご挨拶)
わたくしは、1944年に生まれました。幼少のころは、戦争の荒廃から復興しつありましたが、どの家庭もいまだ貧しく精一杯過ごしている感じでした。しかしながら一方では、活発な人々の動きから、かすかな希望も湧きつつありました。財団の名称の「ジャイアン」は、このような時代に幼少期を過ごした私のあだ名に由来しています。体が大きかったことからつけられたあだ名です。
その後、日本は高度成長を達成し、進学率も飛躍的に上昇しました。現在は、国が豊かになった一方で、様々な理由から就学に困難な生徒が多く存在するようになったと聞きおよんでおります。厚生労働省の調査によると、子育て世帯の収入は、母子世帯が、二人親世帯、父子世帯にくらべて極めて低い水準にあるとのことです。
最近、高校の先生から話を聞く機会がありました。新型コロナ感染症の拡大で収入が減り、母子家庭の中には塾に行かせるどころか、家賃や食糧さえも心配というお母さんがいるとのことです。母子世帯は一段と厳しい状況になっているのをひしひしと感じるとのお話でした。ここに就学困難という教育課題は、わたしにとって急に身近な問題となりました。
母子家庭のお母さんは、経済的支柱であると同時に我が子に母親としての愛情をそそぐとういう大きな責任を一手に背負っております。寝る間を惜しんでの獅子奮迅の働きです。わが子に志があり、そのために勉学の道を望もうとするならば、経済的に困難であっても何とかしてわが子の願いをかなえてやりたいと思うのがお母さんの気持ちです。そのようなお母さんの気持ちに応えるために、わたくしができることはないかと考え2020年奨学金の財団設立に思い至りました。
微財ではありますが、これを基金として一般財団法人ジャイアン2020を設立し、経済的理由により就学困難な生徒に対して奨学金で支援し、社会に有為な人材の育成に寄与できれば幸甚であります。
創設者 大林豁史